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メモリー

裏山に出かける。

仰々しい名前が付いた山だったが7歳ではまだ漢字が読めない。
家の裏にある山だから裏山と呼んでいた。
誰かに裏山のことを話すことなんて無かったから
自分の中でわかっていればそれで良かった。

山の入り口には石の柱が二本立っている。
横切る様に何重かにロープが巻かれているが、
長い年月に晒され、ほとんどその意味を成していない。

いつもの様に、ロープをくぐり抜けて中に入る。
シダ植物に覆われた細く急な階段。
水分を含んだ葉を踏むと滑る為、なるべく茎の部分を踏みながら
上へと進んでいった。

生い茂る樹木に、ここは昼間でもほとんど光が入らない。
掘っ建て小屋と、黄色と黒のフェンス。
足下に散らばった、泥だらけの雑誌。
雑誌はつまらない。
雑誌は読む物だから、それしか意味を持たない。
それ以上の広がりもない。
フェンスの隙間から覗く金属。
巨大な金属、巨大な腕、2本の腕。
バラバラに引き裂かれて、半分が溶けている。

空洞の中にはいつも本が待っていた。
濃紺の表紙は吸い込まれる様な視線を向け、
あまりの青さに赤が恋しくなる。
相反する色では無いのに赤を求めるのはそう誰かに刷り込まれたから。
なんの意味も持たない。

半分にちぎれた黙示録は、静かにもう半分を探してくれと頼んできた。
仕方なく、それっぽい物を探すがすぐに飽きてしまう。
なんでも良いから半分くれと言うので、
溶けて半分になった金属の指から金属の爪を剥がしてくれてやった。
本は器用にそれを取り込むと、金属の穴の中から這い出してきた。

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